映画「虐殺器官」を見た感想を書きたいと思います。
まだ見ていない方はネタバレを含みますのでご注意ください。下記の画像に電子書籍のリンクを貼っておきます。
・あらすじ（公式ページより引用）
9.11以降、テロとの戦いを経験した先進諸国は、自由と引き換えに徹底的なセキュリティ管理体制に移行することを選択し、その恐怖を一掃。一方で後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加。世界は大きく二分されつつあった。
クラヴィス・シェパード大尉率いるアメリカ情報軍特殊検索群i分遣隊は、暗殺を請け負う唯一の部隊。
戦闘に適した心理状態を維持するための医療措置として「感情適応調整」「痛覚マスキング」等を施し、更には暗殺対象の心理チャートを読み込んで瞬時の対応を可能にする精鋭チームとして世界各地で紛争の首謀者暗殺ミッションに従事していた。
そんな中、浮かび上がる一人の名前。ジョン・ポール。
数々のミッションで暗殺対象リストに名前が掲載される謎のアメリカ人言語学者だ。
彼が訪れた国では必ず混沌の兆しが見られ、そして半年も待たずに内戦、大量虐殺が始まる。
そしてジョンは忽然と姿を消してしまう。彼が、世界各地で虐殺の種をばら撒いているのだとしたら…。
クラヴィスらは、ジョンが最後に目撃されたというプラハで潜入捜査を開始。
ジョンが接触したとされる元教え子ルツィアに近づき、彼の糸口を探ろうとする。
ルツィアからジョンの面影を聞くにつれ、次第にルツィアに惹かれていくクラヴィス。
母国アメリカを敵に回し、追跡を逃れ続けている“虐殺の王”ジョン・ポールの目的は一体何なのか。
対峙の瞬間、クラヴィスはジョンから「虐殺を引き起こす器官」の真実を聞かされることになる。
・感想
時代背景としてはあらすじにあるように、セキュリティ管理された社会で安全を保証しようとしている先進国とテロ内乱といった国内が混乱状態にある後進国と対象的な状態となっている近未来が舞台です。
先進国の状態は、紙幣や貨幣といった通貨の使用自体がなくなっている。あるのは一部の地域通貨といったもののみになっています。イメージとしてはアニメのサイコパスの社会の少し手前といった感じでしょうか。（あくまで関しは指紋や網膜など現代でも使用されている認証方法がさまざまな場所で使用されています）
ものがたりの多くはシェパードのプラハでの潜入と暗殺時の戦闘の描写です。
最初はジョン・ポールが関わり、現在混乱状態にある国に潜入する。その中で虐殺を指導している人物を急襲する。目的は過去の虐殺事件に関わったアメリカ人を確保するためだった。ただしすでにその国にはその人物は別の場所に旅立ったあとだった。
次に存在が確認されたのはプラハだった。そこでシェパードはルツィアと出会う。そこで交流するなかで、シェパードは襲われ拘束される。仲間に救出されるが、ジョン・ポールは取り逃してしまう。
ちょっとルツィアとの描写が少なかったせいか、シェパードが任務で関わっているのか、惹かれていっているのか分かりづらかった。
そして最後の戦場は今まさに内乱によって虐殺が始まろうとしているインドとなります。そこでシェパードは再度ジョン・ポールと出会うことになる。そこで虐殺を行わせた器官が人類の中にあるののであること告白する。ジョン・ポールは言葉の中にある傾向から虐殺を発生する可能性を見つけ出し、あえて虐殺を誘発するように仕向けていた。その動機は、あえて虐殺を起こさせ先進国に敵意が向かないようにしていたということだった。
確かに時代設定的にはジョン・ポールの意図した状態だと思いましたが、少し設定が理想的すぎるかと思いました。内乱など情勢が不安定化した状態の国の中の敵意が内側だけに向くようになるかというかとそうではないかと思う。情勢不安中の敵意は、いずれ内部から外部を向くものではないかと思います。
全体を見て感じたことですが、近未来アクションで戦闘の表現などは素晴らしいのですが心情の描写が薄いと感じました。先にも書いたことですが、シェパードが任務として動いているのか感情で動いているのかわかりづらいです。またルツィアさんが物語の重要な場所でよく登場するのだが、あのひとはあくまで民間人のはずなのになぜ最終的にジョン・ポールについて軍事拠点に行くことになったのかの描写が少ないと感じました。
もしかすると、小説の場合はもっと記述されているのかもしれません。（小説はまだ読んでいないので、わかりません申し訳ありません）
以上。