映画「ザ・サークル」を見たので感想を書きます。

ネタバレを少し含みますので劇場で初めて見たいという方は、お気をつけください。

巨大SNS企業を舞台に、プライバシーとパブリックの境界が曖昧になっている現代社会への問題提起を投げかけた作品です。

主演はエマ・ワトソンとトム・ハンクス。

・あらすじ

クレーム対応の仕事を行っていたメイ(エマ・ワトソン)は、知人の紹介で巨大SNS企業サークルで働くことになる。待遇を含めサークルの方針に惹かれていくメイ。普段の生活の様子をSNSにアップすることで、自分が注目されていくことに楽しみを感じていく。

ただ、その中で友人が誹謗中傷されるなどこれまでの日常生活が変わり始める。

そうした中でサークルは小型の動画配信装置であるシー・チェンジを発表する。小型のカメラを搭載し、高画質の映像を衛星を通じて配信するというもの。サークルの社内だけでなく、実際の町中にも設置される。

メイはカヤックをしている際に転覆し、シー・チェンジを見ていた人からの通報で九死に一生を得る。

そのことからサークルのCEOであるイーモン(トム・ハンクス)の目に止まり、とあるプロジェクトへの参加を要請される。

そのプロジェクトは24時私生活を含めて公開するというもので、トイレなど特殊な状況を除いてライブ配信されるというもの。

瞬く間にフォロワーを得るメイだったが、私生活を公開されることで両親や友人とのやり取りがなくなっていく。

サークルのアカウントを使って選挙を行うために登録を義務化するなどこれまでにない形で、拡大を続けようとする。

そのための広報として、サークルを使った個人の追跡を実験的に行われる。一人目は犯罪者を対象に行い、想定道理の結果を叩き出す。次に一般人ならどうかということで疎遠になっていたメイの友人を探すことが行われる。すぐに友人は見つかったが、見つけた人がゲーム間隔で追跡を開始したため友人はトラックで逃げる。その際に橋から転落し、命を失ってしまう。

メイは悲しみにくれるが、サークルのシステムそのものを見直させるためにイーモンにシー・チェンジによる透明化を公開の場で提案する。

・感想

ここ数年台頭しているソーシャルアカウントに伴う利便性と危険性を提起している作品としてとても良かったと思う。実際、いろいろなログインを行うソーシャルログインは様々な場所で利用されているし、利便性も大きい。

ただ、この作品でも描かれていることですがブログよりも短い文章や写真だけのSNSでは本人と意図した伝わり方ではない伝わり方をする場合が多くなっていることは感じる。

この作品でも、鹿の角を使ったシャンデリアの写真を載せたことで友人に脅迫の手紙などが届くなど負の側面が描かれている。

本人は良くても、周囲の人まで意図せず巻き込まれていくことへの懸念というのは大きいとおもう。

象徴的だったのは、「君の世界の一部になりたくない」のセリフだった。

また、プライバシーなどを大切にしたいなど本人の尊重すべき権利など価値観が異なる人がいることを認識するべき場面も多くあると感じました。

今でも、レコメンドなど自分の購入した商品から案内されるなど有用ではあるけれども、どこまで管理されているのか不安になることもある。

本来、小さなコミュニティの中で行っていた情報交換をそのまま無制限に拡大しようとしているSNS。使用者にとっての思い描いている使い方と言うものをしっかりと認識すべき作品だと感じました。

作品の中でもメイは、システムやサービスの存在は否定せず欠陥をなくすと宣言し最後に、自分のカヤックから見ている光景を公開している。

本来のSNSはそうした日常の一場面を共有するツールであるべきなんだと思いました。


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